夜の囁き – 第1章: 3

「健一、こっちに来て。何か見つけたわ」

美咲の声に、健一は急いで彼女のもとに駆け寄った。美咲が指さしたのは、古い日記帳だった。健一はそれを手に取り、ページをめくり始めた。

「これは…この家に住んでいた家族の日記みたいだ」

日記には、過去の住人たちの生活が綴られていた。彼らはこの家で幸せな日々を過ごしていたが、ある日を境に不幸な出来事が連続して起こるようになったことが書かれていた。

「彼らも囁き声を聞いていたみたいだ…」健一は声を震わせた。「そして、その声が日に日に大きくなり、最後には皆が狂ってしまったと書かれている…」

美咲は恐怖に震えながらも、日記を読み進めた。「この家には何かがいる…私たちもそれを感じ始めている…助けて…」

「この声の正体が何なのかを突き止めなければならない…」健一は決意を新たにした。

二人はその夜、再び声が聞こえるのを待つことにした。深夜になり、再び囁き声が響き渡った。今度はもっとはっきりと、そして強く感じられた。

「助けて…ここから出して…」

タイトルとURLをコピーしました