夜の囁き – 第2章: 1

二人はさらに調査を続け、他の資料を漁った。次第に、この家にまつわる不気味な噂や言い伝えが浮かび上がってきた。地元の人々はこの家を忌避し、近づかないようにしていることがわかった。

図書館での調査を終えた二人は、次に地元の古老に話を聞くことにした。町の外れに住む近藤という老人が、その地域の歴史に詳しいという情報を得たからだ。

近藤の家に到着すると、健一はゆっくりとドアをノックした。しばらくして、年老いた男性がドアを開けた。彼の顔には深い皺が刻まれており、その目には長年の知恵と経験が宿っていた。

「こんにちは。佐藤健一と申します。こちらは妻の美咲です。少しお話を伺いたいのですが…」

近藤は二人をじっと見つめ、静かに頷いた。「入りなさい」

二人は招かれるままに近藤の家に入った。室内は古い家具で満たされ、長い年月の香りが漂っていた。近藤は彼らをリビングに案内し、座るように促した。

「何を知りたいのかね?」近藤は低い声で尋ねた。

健一は緊張しながら答えた。「私たちは、最近あの古い家に引っ越してきました。しかし、夜になると囁き声が聞こえるんです。その声の正体を探るために、家の歴史を調べています」

近藤はしばらく黙っていたが、やがて重々しく口を開いた。「あの家か…あそこには不幸な歴史がある。昔、ある家族が住んでいたが、皆が突然亡くなった。それ以来、その家は呪われていると言われているんだよ」

美咲は震える声で尋ねた。「どうしてその家族は亡くなったんですか?」

タイトルとURLをコピーしました