深海の叫び – 結章:深海の叫び、そして沈黙 前編

船内では、隊員たちがそれぞれの姿勢で、帰還後の報告や、体調、精神状態について記録を残していた。ドクター・ローレンスは、ひそかにモニター越しに古代の紋章や象形文字の映像を再解析しながら、「この記録こそが、我々が直面した恐怖の証であり、そしてそれが示す未来への道しるべなのです。過去の失われた命が、今や次なる冒険への力となると信じています」と、熱意と共に語った。

斎藤は、ローレンスの情熱に応えるように、再び高らかに告げた。「私たちは、この探査ミッションで得た全ての情報を、後世のために記録し、伝えていかねばならない。あの日の狂気、絶望、そして仲間たちの笑顔――すべてが、未来への新たな挑戦につながる。私たちは、彼らの犠牲を決して忘れることはない。むしろ、その痛みを胸に、次なる真実へと進む責務があるのだ」

中村は、静かながらもしっかりとした口調で、「この海は、深く、そして多くの謎に満ちている。それは恐怖と同時に、希望も秘めている。私たちは、失われたものを悼むばかりでなく、未来のために新たな探査を続ける。あの仲間たちの命は、私たちの誇りであり、彼らの記憶が導く新たな冒険の始まりなのです」と、隊員たち一人一人の心に語りかけた。

艦内は、帰還後の再点検と各種データの整理が静かに進められる中、探査ミッションの成果と、その代償の大きさを物語る数々の記録で満たされていた。映像の一部には、激しい戦闘のシーンや、隊員たちが狂気に引き裂かれかけた瞬間の生々しい様子が刻まれており、全員の心に深い傷跡を残していた。

斎藤は、再びコンソールの前に立ち、深海から送られた最新のデータを確認しながら、各隊員に語りかけた。「我々は、これまで数え切れないほどの恐怖に直面してきた。だが、その全てが、未来への道しるべとなることを忘れてはならない。この探査ミッションは、ただの任務ではなく、私たちが人類の歴史に刻むべき、一大プロジェクトである。失われた仲間たちの犠牲を胸に、次の挑戦への準備を始めよう」

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