古本屋の時計 – 第2話

第1話 第2話

ユカは時計の力で過去に戻り、高校時代に告白できなかったこと、大学受験で第一志望校に落ちたことなど、自分の人生における小さな後悔や失敗を修正し始める。彼女は過去の自分にアドバイスをして、より良い結果を得ようとする。最初は、これらの小さな変更が彼女の人生を徐々に改善していくように思えた。友人関係や学業成績が向上し、彼女は過去の選択に満足するようになる。

しかし、時間が経つにつれて、ユカは自分の行動が現実に深刻な影響を及ぼし始めていることに気づく。彼女が過去を変えたことで、友人関係が変わり、親しい人たちとの間に微妙な距離感が生まれていた。さらに、家族構成にも微妙な違いが現れる。彼女の両親が離婚していたり、兄弟の一人がいなかったりするなど、記憶と現実の間に齟齬が生じ始める。

「なんでこんなことに…?」ユカは自分の部屋で時計を見つめながら呟いた。彼女は時計の力を使って、人生をより良くしようとしただけだった。しかし、その結果が今のこの混乱を生んでいるとは。

一番の転換点は、ユカが最も後悔していた出来事、両親の死亡事故を防ごうとした時に訪れる。事故の日に戻り、何とかして両親を家に留めようとする。彼女はその日の朝、過去の自分が両親に話しかける。

「今日はどうしても家を出ないで。お願いだから。」過去のユカが両親に懇願する。しかし、両親は彼女の言葉を真に受けることができず、予定通りに家を出ていく。

ユカは時計を使って、何度も何度もその日に戻り、異なる方法で両親を家に留めようと試みる。しかし、どの試みも成功しない。そして、彼女が再び現在に戻ると、衝撃的な変化に直面する。両親の事故は防げなかったにもかかわらず、彼女の行動が引き起こした別の結果が現れたのだ。

ユカの両親は事故で亡くならなかったが、その代わりに別の重大な問題が発生していた。事故を回避したことで、彼女の家族は金銭的な困難に直面し、それが原因で家族関係がギクシャクしてしまう。ユカは自分が望んだ「両親が生きている」結果を手に入れたものの、家族の幸せは得られなかった。

この結果を前に、ユカは混乱と後悔に苛まれる。時計の力を使って過去を変えることができたとしても、それが必ずしも良い結果をもたらすわけではないことを痛感する。彼女は自分の行動が現在に及ぼす影響を真剣に考え始める。

「もしかして、私がしてきたこと全部間違ってたのかな…」ユカは自問自答する。時計の力を使って過去を変えることの意味、そしてそれがもたらす責任について深く考え込む。彼女は現在と過去、そして未来のバランスをどう取り扱うべきか、その答えを見つけ出そうとするが、容易ではない。ユカの旅はまだ続いており、彼女がどのような選択をするのか、その先には未知の展開が待っている。

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