にじいろのうさぎと魔法の森 – 前編

 むかしむかし、とある深い森の奥に、たくさんの動物たちが暮らしていました。そこは「魔法の森」と呼ばれ、木々のあいだから不思議な光がこぼれ落ちたり、小さな妖精が飛びかうとも言われる、なんともふしぎな場所でした。その森の入り口近くには、好奇心旺盛な茶色いうさぎの「モモ」が暮らしていました。モモは何にでも興味をもち、ちょっと珍しいものがあると、「いったいこれはなんだろう?」と耳をぴんと立てて森の奥に走り出すような子です。

 ある晴れた日のこと。モモはいつもより足取りも軽く、森の中をぴょんぴょん跳ね回っていました。すると、見たことのない小道を発見します。「こんなところに道があったかしら?」と思いながらも、好奇心がむくむくとわきあがり、足が勝手に進んでしまうのです。

「わあ、ここはなんだか光が差しこんできれいだなあ!」

 モモが歩みを進めると、そこには小さな泉がきらきらと虹色に輝いていました。いままで見たことのない不思議な色合いに、モモの目はまんまるになりました。

「うわあ…すごい。これが、うわさに聞く魔法の泉かな?」

 モモは泉をじっとのぞきこみました。その瞬間、泉がぱっとまぶしい光を放ち、モモの体をやさしく包みこみました。すると、モモの茶色い毛は七色に輝きだし、ふわっと宙に浮かんでしまったのです。

「きゃあ、な、なにこれ? ぼくが…にじいろになってる!」

タイトルとURLをコピーしました