にじいろのうさぎと魔法の森 – 前編

 リスの兄弟が見せてくれたのは、大きな木の根元にあいた穴でした。そこにたくさんのどんぐりが落ちこんでしまい、深すぎて自分たちの力ではとても届かなくなっていたのです。兄弟は細い枝を伸ばしたり、しっぽを使ったりしてがんばったのですが、どんぐりはまだまだ底のほうに。

「これを全部引きあげられたら、この冬は安心して過ごせるんだけど…」

 リスたちは少ししょんぼりしています。モモは新しく得た魔法を使って、光の玉をそっとどんぐりの下に入れました。するとどうでしょう。光の玉に導かれるように、穴の底からどんぐりがふわふわと浮かび上がってくるではありませんか。リスの兄弟は大はしゃぎ。

「わあ、すごい! きらきらした光で、どんぐりが勝手に上がってきたよ!」

「にじいろのうさぎさん、ありがとう!」

 モモは少し照れながらも、「にじいろのうさぎ」なんて呼ばれてうれしくなりました。森の動物たちの役に立てるなんて、最高の気分です。

 それからモモは、森の中を歩き回っていろいろな動物を助けました。ある日は、年老いたふくろうの寝場所の枝が折れてしまい、住む場所をなくして困っていました。モモは光の玉を枝の切れ目にそっとあて、ピタリとくっつけて修復する魔法を使いました。ふくろうはふかふかの枝にとまれるようになり、「これはすばらしいね。ありがとう、にじいろのうさぎさん」と、深く頭を下げました。

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