おひさまのぼうし

ある夕方、ユウは金色のぼうしを手に森へ向かった。あのぼうしを最初に見つけた場所に戻ってみれば、何か答えが見つかるかもしれないと思ったのだ。森の奥深くは静かで、木漏れ日がゆらゆらと揺れているだけ。ユウはぼうしを両手で抱え込み、ぽつりぽつりと話しかけるようにつぶやく。「おひさまって、朝からずっと同じ光を当てているわけじゃないよね。明るい昼もあれば、やわらかな夕方もある。それに夜になると、ちゃんと休んでくれる……。ぼくはそのこと、忘れてたのかな」

森を吹き抜ける風が、ユウのぼうしを軽く揺らした。葉と葉がこすれあう音が静かに響き、まるで「そうだよ」とうなずいているようにも聞こえる。ユウはそこで初めて、ぼうしの力を振りかざすのではなく、自然の流れを手伝うように使えないかと考えた。「ただ強い光を当てるんじゃなくて、必要なときに、必要なだけ……。それなら、みんなにやさしくあたたかさを届けられるかもしれない」

次の日、ユウは勇気を出して村の人々にぼうしの秘密を打ち明けることにした。初めはみんな驚いたが、ユウが必死に説明すると「なるほどねえ。あの不思議な日差しはユウくんが生み出していたのか」「力があるっていうのはすごいけど、だからこそ大切に扱わないといけないんだね」と納得してくれる。農家の人たちはユウに、「よかったら朝のうちだけ少し手伝ってくれないか。昼間は太陽にまかせるよ」と提案してきた。お年寄りも、「朝晩だけ少しあたためてもらえるとありがたいわね」とうれしそうに話す。

ユウはその言葉にほっと胸をなでおろした。「うん、ぼくのぼうしの力、うまく使えるようにがんばるよ」。金色のぼうしは重たい責任でもあったけれど、村のみんなと一緒に考え、工夫すれば上手に活かせるはずだ。何より、一人で全部を抱え込まなくてもいいとわかったことで、ユウの心はぐんと軽くなった。

それからの村では、朝早くユウがそっとぼうしをかぶり、畑にやさしい光を届ける姿が見られるようになった。夕方にはお年寄りが腰を下ろす縁側に、少しだけあたたかな光が射しこむ。ときどきは夜のお祭りや、お祝いごとがある日に金色のぼうしを貸し出して、暗闇をほんのり明るく照らすこともある。そのたびに村の人々の笑顔は増え、ユウも「これでよかったんだ」と実感するのだった。森に揺れる木々はいつもやさしい音を立てて、ユウの決断をそっと見守ってくれているようだった。

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