おひさまのぼうし

翌日、ユウはこっそりと灰色のぼうしの下に金色のぼうしをかぶり、学校へ向かった。休み時間になると外のグラウンドに出て、人気のない隅で試しに指をさしてみる。すると、一部だけ光が強まってぽかぽかとあたたかい空間が広がり、近くで遊んでいたチカたちが「え、なんだかここだけ春みたい」と言って不思議がるが、それがユウのぼうしの力だとは思っていない様子だ。ユウは嬉しくなって「もしかしたら、この力でみんなを助けられるかもしれない」と心を弾ませる。

そこでユウは、さっそく困っている人を手助けすることにした。畑の野菜が寒さで枯れかけているという話を聞いて、金色のぼうしを使い、そっと陽の光を届けてみる。しおれかけていた葉が少しずつ元気を取り戻す姿を見て、農家の人たちは「おや、今日はなんだか日差しが優しいねえ」と顔をほころばせた。ユウはその様子を物陰から見守り、「やっぱり、このぼうしは村のみんなを幸せにするためにあるんだ」と胸を熱くする。

しかし、ユウの心に生まれた喜びは次第に大きくなりすぎてしまう。もっとあたたかくしてあげたい、もっと作物を大きくしたいという思いから、昼間のうちに何度も強い光を当て続けるようになった。最初は喜んでいた農家の人たちも、長時間続く強い日差しに畑の土が乾きすぎ、逆に作物がぐったりしてしまうことに気づく。「こんなに天気がいい日が続くのは初めてだけど、ちょっとやりすぎかもしれないな」と不安そうにつぶやく人も出はじめた。

さらにお年寄りの中には、「日差しが強くて頭がくらくらするよ」と訴える人もいた。子どもたちも、「グラウンドが暑すぎて遊べないよ」と困った顔を見せるようになる。ユウはその様子を見て、何とも言えない罪悪感を覚えた。「どうして……みんなを助けたかっただけなのに……」ぼうしの力を使うことは簡単だったが、使い方を間違えれば迷惑にもなるのだと、ユウは痛感する。

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