第2章：共有される夢
その夜、平岡祐太は不思議な夢を見た。彼は、街のはずれにある古びた建物に迷い込んでいた。建物は古く、重厚な扉が閉ざされているように見えたが、祐太は何故かその扉を押し開け、中に入っていった。
夢の中の建物は、外見とは裏腹に内部は広く、薄暗い回廊が続いていた。祐太はそこを進んでいくと、壁に掛けられた古い肖像画や、埃まみれの書物が並ぶ部屋にたどり着いた。彼は何か重要なものを探しているような気がして、肖像画や書物を注意深く見ていた。
すると、突然、彼の目の前に謎の光が現れ、その光の中から一枚の古い文書が舞い降りてきた。祐太はその文書を手に取ろうとした瞬間、目が覚めた。
翌朝、祐太はその夢のことを川嶋雄也に話した。すると、驚くべきことに、雄也も同じ夢を見ていたのだ。二人はそれぞれの夢の詳細を話し合ったが、特に重要な情報は思い出せなかった。
「不思議だな…なんで僕たちが同じ夢を見るんだろう？」祐太が疑問を投げかけた。
「うん、本当に変だよ。もしかしたら、あの謎の運転手のせいで何かが起こってるのかもしれないね。」雄也が答えた。
二人はその日、学校での授業に集中しようとしたが、夢のことが頭から離れなかった。放課後、彼らは図書室で街の歴史について調べることにした。
図書室での調査は、彼らにとって新たな発見の連続だった。街の歴史には、古代からの神秘的な力が影響していたこと、そして過去には語り継がれるような大きな出来事が何度かあったことが分かった。
特に、彼らが見た夢に登場した古びた建物に関連する記録がいくつか見つかった。その建物はかつて街の重要な場所であり、多くの秘密が隠されていたらしい。
「これはただの夢じゃないかもしれないね。」祐太が言った。「もしかしたら、僕たちに何かを伝えようとしているのかもしれない。」
「そうだね。でも、何を？そして、どうして僕たちなんだろう？」雄也が疑問を投げかけた。
その日の夜、祐太と雄也は再び同じ夢を見た。今度は、夢の中で古びた建物の奥深くにある秘密の部屋にたどり着き、そこで見たものが彼らの運命を大きく変えることになるという予感があった。
祐太と雄也の関係は、この共有夢を通じてさらに深まり、二人はこれまで以上に互いに依存し合うようになった。彼らは、夢と現実の境界が曖昧になりつつある街の中で、自分たちの役割を見つける旅を始めることになるのだった。
