運命の手紙 – 第1話

普通の日常

水島優希は、普通の高校生だった。朝、目覚まし時計の音に合わせて起床するのは、彼の日常の一部だ。部屋のカーテンを開けると、そこにはいつもの景色が広がっていた。遠くの山々、近くの住宅街、そして、それらを照らす朝日。窓から見える景色は、変わらない日々の証だった。

「優希、朝よ!」 母の声が階下から聞こえる。彼は軽く返事をして、制服に着替えた。高校2年生になっても、制服のネクタイを結ぶのは少し苦手だった。鏡に映った自分の顔を見て、少しだけ髪を整える。普通の顔、普通の髪型、そして、普通の表情。優希は、自分がどこにでもいる普通の高校生だと思っていた。

朝食はいつものように母が作った味噌汁とご飯。家族は父、母、そして妹の4人家族。父は既に出勤しており、優希と妹の学校の時間に合わせて母が朝食を用意してくれる。食卓では、妹が学校での出来事や友達の話で盛り上がる。優希はそれに笑いながら耳を傾ける。幸せな家庭の風景だった。

「じゃ、行ってくるね」 優希はランドセルを背負った妹に手を振りながら、家を出た。いつもの道を歩き、いつもの時間に最寄りの駅に到着。友達と待ち合わせて、一緒に学校へ向かう。彼らは昨日のテレビ番組や、学校での出来事について話し合う。高校生活は、友達との時間が一番楽しい時だった。



学校に到着すると、いつものように教室に向かう。机に座り、周りのクラスメートたちと朝の挨拶を交わす。優希はクラスでは目立たないが、友達は多い。彼は授業に集中し、時々友達と冗談を言い合う。先生の話は時々面白く、時々退屈だった。それでも、優希は学ぶことが好きだった。

放課後は部活動。優希は文芸部に所属しており、物語作りや詩を書くのが好きだった。部活の時間は、彼にとってもう一つの世界。ここでは、彼は普通の高校生ではなく、作家志望の学生だった。部員たちとの話は、いつも刺激的で新鮮だった。

夕方、部活が終わり家に帰る。道すがら、夕焼けが空をオレンジ色に染める。家に着くと、今度は夕食の準備。家族が集まり、また一日の出来事を話し合う。普通の話、普通の笑い声、そして普通の幸せ。

優希は自分の人生に満足していた。特別なことは何もないけれど、それが彼にとっては特別だった。彼は知らなかった。この平穏な日常が、まもなく大きく変わることを。そして、その変化が彼の運命を決めることになるとは。

夜、ベッドに入り、明日のことを考えながら目を閉じる。静かな夜、平和な眠り。しかし、これが最後の普通の夜になるとは、まだ誰も知らなかった。

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