陽斗は、仲間たちの言葉に胸が熱くなるのを感じながら、一歩一歩、確かな歩みを進めた。足元には、朝露が煌めき、周囲の大地は新たな希望と不安に満ちているようだった。
彼の心の中では、先の未知なる試練が確かに存在し、その試練こそが自らの成長を促す糧であると感じられた。
「みんな、共に歩んでくれてありがとう。僕たちの足跡が、未来へと繋がる道しるべになるはずだ」
そう語りながら、彼らは広大な平原へと踏み出した。道中、急に曇り空が広がり、風が強く吹き始めると、エリナは空を見上げ、眉をひそめた。
「これは…通常の天候の変化ではないわ。どこかで、魔法の力か何かが働いているのかもしれません」
ミカエルもまた、周囲の雰囲気に不審を抱き、地図に印を付けた。
「この辺りに、不思議なエネルギーの集中があると古文書に記されている。私たちは、その現象の中心を調べる必要があるだろう」
ロレンスは、剣を片手に険しい表情で周囲を警戒しながら付け加えた。
「ただし、気を抜くな。道中、我々の他にも、この現象に目を光らせる者がいるかもしれない。何かの組織が、影から私たちを見守っている可能性も否定できない」
その言葉に、陽斗は思わず周囲を見回し、遠くの木陰や岩陰に怪しい気配が潜むのを感じた。心の奥底に、先の試練がただの自然現象だけではなく、何らかの狙いがあるのではないかという疑念が芽生えた。
「もし、あの噂が本当なら……我々は、ただの旅人ではなく、ある大いなる陰謀の一部として動いているのかもしれない」
と、陽斗は静かに呟いた。
