ヴァーチャル・フロンティア – プロローグ2

プロローグ: 2

第2話:「没入」

アレックスは「フロンティア」の世界に足を踏み入れた瞬間から、現実とは異なる自由を感じていた。彼の足元にはリアルな土の感触があり、風が頬をかすめる。遠くの山脈は雲の切れ間から顔を覗かせ、どこまでも広がる地平線が彼を新しい冒険へと誘っている。目の前に広がるこの世界は、これまで経験してきたどのゲームとも違っていた。

「さて、何から始めるかな…」

アレックスは独り言を呟きながら、目の前に広がる広大なフィールドを歩き出した。彼の目的は、まずは拠点を作るための資源を集めることだ。ゲーム内のチュートリアルによれば、木材や石、食料を集めて安全な場所に自分だけの拠点を築くことが最初の目標となる。アレックスは周囲を見回し、近くに見つけた森へと向かうことにした。

森の中は、外の広大な草原とは対照的に、木々が生い茂り、静寂が支配していた。葉のざわめきと鳥のさえずりが耳に心地よく響く。アレックスは手に持った斧を振り上げ、木を一つ切り倒す。斧が木に当たるたびに、手のひらに伝わる衝撃がリアルすぎて、彼は一瞬、自分が本当に森の中で作業しているのかと錯覚するほどだった。

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