星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 第2章 後編

今、彼は都市の器として歩いている。だがその瞳には、まだ燻るものがあった。

遥斗は悟った。

俺だけじゃない。真白も、烈司も、誰もが奥底に眠る“自分”を抱えている。

ならば——呼び覚ませる。

過去の記憶、悔恨、笑顔。

それらは無駄であり、非効率であり、だからこそ人間を人間たらしめるものだ。

「君は器。器は選ばない」

オルフェウスが告げる。

遥斗は胸の奥で答えた。

——なら、俺は選ぶ。無駄でも、間違いでも。

意識を燃やし、心拍を半拍遅らせながら。

それが、静けさを破る最初の反乱だった。

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