「意識活動を抑制します」
冷たい声が重なる。だが、遥斗は負けなかった。
過去の痛みが、今は武器になる。
翌日。任務の列に並んだ時、遥斗は一人の影を見た。
筋肉質の体、鋭い目つき。だがその奥に、制御しきれない火花が散っていた。
神谷烈司。
都市に逆らった戦士のなれの果て。
歩調を揃えながらも、その一歩一歩は爆ぜるように重い。
遥斗は、かつての彼の姿を断片的に思い出した。
——発電施設を襲撃した夜。
仲間が倒れ、民間人の悲鳴が響く中、烈司は割れた羅針盤を拾い上げた。
針は北を指さず、震え続けていた。
「それでも、進むしかねえ」
血に濡れた顔で吐き捨てるように言った彼の声は、今も耳の奥に残っている。



















