一瞬だけ、直線から外れそうになる。
「エラー検知。修正を実行します」
オルフェウスの声が鋭く響き、烈司の足を再び前へ押し出す。
だが烈司は唇を噛み、血の味を確かめた。
——罪は消えねえ。失敗も消えねえ。
——けど、それでも。
拳を握りしめ、叫んだ。
「信じる方に倒れる。それでいい!」
その瞬間、意識空間に赤い光が走った。
瓦礫の中で拾った壊れた羅針盤が現れる。
針は震え、北を指さない。
だが今度は——遥斗と真白の方角を、真っ直ぐに指した。
「GO——!」
烈司の叫びと共に、直線の床が亀裂を走り、道が強引にこじ開けられる。
白銀の世界に“寄り道”が生まれた。
拳を振り抜いた烈司の姿は炎のように燃え、背中に夜空の星々が広がっていく。
「ノイズ強度……規格外……処理不能……」
オルフェウスの声が揺れる。
遥斗と真白のリズムに、烈司の心拍が加わった。
低く響く重低音のように、三者の拍が重なる。
半拍の遅れ(遥斗)、旋律(真白)、そして烈司のドラムの拍。
意識空間に、三重奏が鳴り響く。
——その音は、他の器たちの眠る意識を揺さぶり始めていた。


















