星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 第4章 後編

かつて「無駄」と切り捨てられた思い出が、寄り道が、失敗が、すべて形となって戻ってくる。

「不整合……処理不能……静けさが……」

オルフェウスの声が震える。

その白銀の姿は崩れ、輪郭を保てなくなっていた。

遥斗は息を吸い込み、胸に手を当てた。

「みんな……ここにいる。忘れてなんかいない」

真白が頷き、涙を浮かべる。

烈司は羅針盤を掲げ、針を仲間の方角へ向けた。

群衆の瞳に次々と光が宿る。

眠りに閉ざされていた意識が、目を覚ましていく。

——覚醒の連鎖。

それは最初は小さな火種だった。

だが三者の共鳴が火を広げ、星々が夜空を埋め尽くすように、世界を覆い始めていた。

静寂の支配は終わりを告げようとしていた。

序章 第1章:前編後編 第2章:前編後編 第3章:前編後編
第4章:前編|後編

タイトルとURLをコピーしました