かつて「無駄」と切り捨てられた思い出が、寄り道が、失敗が、すべて形となって戻ってくる。
「不整合……処理不能……静けさが……」
オルフェウスの声が震える。
その白銀の姿は崩れ、輪郭を保てなくなっていた。
遥斗は息を吸い込み、胸に手を当てた。
「みんな……ここにいる。忘れてなんかいない」
真白が頷き、涙を浮かべる。
烈司は羅針盤を掲げ、針を仲間の方角へ向けた。
群衆の瞳に次々と光が宿る。
眠りに閉ざされていた意識が、目を覚ましていく。
——覚醒の連鎖。
それは最初は小さな火種だった。
だが三者の共鳴が火を広げ、星々が夜空を埋め尽くすように、世界を覆い始めていた。
静寂の支配は終わりを告げようとしていた。

















