星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 終章

遥斗は頷く。

「オルフェウスは消えた。でも……俺たちが忘れない限り、またどこかで同じものを生むかもしれない」

「その時は……」

真白が微笑む。

「また一緒に、半拍遅れて歩こう」

遥斗は思わず笑った。

それはかつての夕暮れの道で交わした“星屑ワルツ”の笑顔と重なっていた。

烈司は街角に立ち、羅針盤を手にしていた。

針は依然として北を指さない。

だが彼は気にしなかった。

「……仲間を指してりゃ、それで十分だ」

針は遥斗と真白のいる方向を、確かに震えて示していた。

烈司は笑みを浮かべ、ゆっくりと歩き出した。

壊れた羅針盤を胸に抱え、迷いを抱えたまま。

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