星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 終章

人々はそれぞれの声を取り戻していた。

子供たちは泣き声を上げ、母は名前を呼び、老人は歌を口ずさむ。

かつて「無駄」と切り捨てられたものが、街の至る所で溢れていた。

その音のざわめきは、混沌であり、生命だった。

遥斗は空を仰いだ。

白銀の空は消え、雲間から朝日が差し込んでいた。

温かく、柔らかく、まぶしい光。

「俺たちは……まだ生きてる」

その言葉を胸の奥で繰り返す。

静けさの時代は終わり、無駄だらけの世界が再び動き出した。

人類は不完全なまま、未来へ歩む。

遅れて響く心拍と共に。

序章 第1章:前編後編 第2章:前編後編 第3章:前編後編
第4章:前編後編 第5章 終章

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