時計の中の瞳 – 第2章: 繰り返される夢

再び、月明かりの下の公園。エリオットは前回の夢と同じ場所に立っていた。しかし、何となく違和感を感じた。彼の周囲には、微かな霧が立ち込め、視界がやや曇っていた。

彼は再び、影のような人物が何かを埋める場面を目の当たりにした。その人物の動きは前回と同じだったが、エリオットは夢の中である自覚を持っていた。彼は、夢の中で自分の意識を持つことができる「明晰夢」を経験していると気づいた。

彼はその状況を利用し、積極的に夢の中で行動を起こそうとした。人物が去った後、エリオットは再び埋められた場所に近づいた。今回は、穴を掘ることを躊躇しなかった。彼の手は土を掘り返し、やがて硬いものに触れた。それは木製の小箱だった。

彼がその箱を開けようとした瞬間、背後から聞こえる声に驚かされた。「そこを動くな!」その声は、深い低音で、命令口調だった。エリオットは振り返ると、影のような人物が彼を睨んでいた。

エリオットはその場で凍りついた。人物は徐々に姿を現し始め、月明かりの下でその顔がはっきりと見えるようになった。驚くことに、その顔は時計の前の持ち主、ローランド・グレイヴズに瓜二つだった。

ローランドはエリオットに近づき、低く囁くように言った。「私の秘密を知るなら、真実の代償を払う覚悟があるのか?」



エリオットは言葉を失い、ただ震える体を抑えることしかできなかった。その瞬間、再び明るい光が彼の視界を覆い、彼は目を覚ました。

彼は冷や汗を流しながら、部屋の中を見渡した。部屋の隅にあるアンティークの時計が、まるで彼を嘲笑うかのように静かに時を刻んでいた。

日が昇ると、エリオットは自分の手帳を取り出し、夢の中での出来事やローランドとの会話を忘れないうちに書き留めた。彼は、この夢が何かのメッセージや警告を伝えてきているのだと確信していた。

彼はその日、仕事を休んで町の図書館に向かった。彼は、ローランド・グレイヴズやその家系、そして数十年前の失踪事件について調べることにした。

図書館の資料室には、町の歴史や新聞の切り抜きが保存されていた。エリオットは、一つ一つの資料を丁寧に読み進め、ローランドの失踪やその背後に隠された秘密を探ることに没頭した。

夕方になり、図書館の中は暗くなってきた。エリオットは、手に入れた情報を整理し、次の行動を考えることにした。彼は、再び夢の中でローランドと向き合うことを決意した。

第1章 第2章

タイトルとURLをコピーしました