町の中心部、狭い路地を抜けた場所にあるアンティーク店「ブラウンズ・コレクション」の店先には、錆びた鉄の看板がぶら下がっていた。古びたガラス窓越しには、多くの古い品々が所狭しと並んでいる様子が見えた。
エリオット・ホワイトは30歳のジャーナリスト。彼は子供の頃の心に残る未解決の失踪事件、特に母親の失踪事件を追い続けていた。彼の心の中では、この町にはまだ多くの未解決の謎が眠っていると信じていた。
この日も、彼は友人との待ち合わせまでの時間を持て余していた。何気なく立ち寄ったアンティーク店での出来事が、彼の人生を一変させることとなるのだが、その時の彼はまだその事実を知る由もなかった。
店のドアを開けると、古い木製の床がきしんだ。店内は狭く、天井も低い。壁一面には古い家具や食器、そして時計が並べられていた。その中でも、特に目を引いたのは、大きなアンティークの時計だった。
その時計は大きな円形のフレームに囲まれ、黒と金の模様が緻密に描かれていた。そして、時計の中心部には、月明かりの下で、影のような人物が何かを埋める様子の絵が描かれていた。その絵柄は一見するとただの風景のように見えたが、よく見るとその中には深い物語性が秘められているようだった。
エリオットはその時計に夢中になって眺めていた。そして、彼の内側に眠っていた好奇心が、再び目を覚ました。
「この時計、いいですね。」彼はつい声に出してしまった。
「ああ、それは数十年前のものだ。前の持ち主から買い取ったんだ。」と、店の奥から現れた中年の男性、ミスター・ブラウンが答えた。
ミスター・ブラウンは、白髪交じりの髪と、ひげをたくわえた顔をしていた。彼の目は、多くの古い物や歴史を見てきたことを物語るような深さを持っていた。
「前の持ち主、どんな人だったんですか？」エリオットは興味津々で尋ねた。
ミスター・ブラウンはしばらく黙ってその時計を眺め、やがて「それは…」と話し始めた。
