武術 – 第2話「道頓堀の試練」

大阪の繁華街、道頓堀。ネオンの灯りが川面に映り込み、人々が賑わう。その中に、夏樹と萌仁香の姿があった。

萌仁香はキラキラとした瞳で周囲を見渡し、「大阪か…。」とつぶやいた。

夏樹は彼女の顔を見ながら、「見てみろ」と微笑んだ。

川沿いの大きな看板、グリコのランナー像を目の前に、萌仁香は驚きの声を上げた。「凄いな!」

夏樹は萌仁香の興奮を楽しみながら、「嗚呼」と返した。

道頓堀の雑踏を歩きながら、夏樹は「何処かで休むか。」と提案した。

萌仁香は同意するように「嗚呼」と頷いた。

しかし、その時、近くの路地から「そうじゃないやろ、ゴラ!!」という怒鳴り声が聞こえてきた。



夏樹がその方向を見ると、若者たちが一人の男性を囲んでいた。男性が「すみません!」と謝罪するも、若者たちの一人が「謝れば済むと思ってんのか!?」と怒鳴りつけていた。

夏樹は萌仁香の手を引き、「そこで何してる?」と声をかけた。

若者たちの一人が夏樹を見て、「何やおっさん!」と言い放った。別の者が「関係ない奴は引っ込め!!」と続けた。

夏樹の身体が一瞬で張りつめ、その瞬間、萌仁香が叫んだ。「夏樹!何やっ…!」

若者たちの中の一人が萌仁香を見て、目を輝かせて「おおっ!ええスケやん!」と言い、「ならそいつをくれたら、許してやるよ!」と夏樹に迫った。

夏樹は萌仁香の後ろに立ち、萌仁香を守るように手を広げて言った。「彼女はツレだ。私が許さない。」

若者たちのリーダーらしき男が笑いながら、「おお!冴えない奴が偉そう言うなって!!」と言い放ち、夏樹に襲いかかった。

しかし、夏樹の反応は迅速で、男を一瞬で制圧。「ぐあっ!!」と男が苦しむ中、周りの人々が驚きの声を上げた。「凄い!」、「この野郎!!」という声が聞こえてきた。



その時、別の若者が夏樹に襲いかかる。夏樹が「ぐっ!」と声を上げ、若者を制止しようとするも、彼の隙を突いて、萌仁香がその若者を打撃。「うらっ!!」と若者が倒れる中、萌仁香が「おい!何してんだ!」と声を上げた。

夏樹は驚きの表情で、「萌仁香。お前…。」と言うと、彼女はにっこりと笑って、「昔、空手学んでたんだよ」と答えた。

夏樹は困ったような顔で、「萌仁香。お前は空手を学んでいた事黙っていたのか?」と尋ねると、彼女は肩をすくめて、「聞かれなかったから、言わなかったんだよ」と答えた。

二人が再び歩き出す中、夏樹は彼女に向かって、「だが、お前はあの中国人を傷つけたんだぞ」と言った。

彼女は沈黙した後、涙を浮かべて、「言ってなかった事があって…私の母親は日本人じゃないんだ。母親は韓国人よ。私はそれで苛められていたのよ」と語った。

夏樹は彼女の手を握り、「そうだったのか」と言いながら、大阪のコリアンタウンを指差し、「この大阪には、沢山住んでる。色んな理由でだ。」

萌仁香は夏樹の言葉に涙を流しながら、「そうだね」と答えた。

夏樹は彼女に微笑みながら、「此処は?」と尋ねると、彼女は「コリアンタウンよ」と答え、二人はその場所へ向かった。「此処で宿を探そう」と夏樹は提案し、夜の大阪を背に二人は歩いていった。

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