未来を紡ぐ共鳴 – 第4話

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都会の中心部にそびえるガラス張りの高層ビル。その最上階に位置する会議室では、最新鋭の設備に囲まれながら、神谷博士率いる大手テック企業の重役たちが集まっていた。室内は冷たい照明に照らされ、壁に映し出されるグラフや数値データが、まるで未来を冷徹に切り取るかのように浮かび上がっている。今日の議題は、これまで以上に利益追求を徹底するための新戦略であった。

「皆さん、今こそ我々の技術を最大限に活かし、市場を席巻する時だ。倫理や共感といった抽象的な価値は、企業活動においては二の次と考えるべきだろう」と、神谷博士は堂々たる口調で宣言した。

「しかし、消費者の感情に訴える『感情模倣AI』の需要は確実に高まっています。大量生産によりコストを削減すれば、我々の利益は飛躍的に拡大するはずです」と、一人の重役が意見を述べる。

「その通りだ。感情の模倣は、リアルな共感ではなく、単なるデータの再現に過ぎない。だが、マーケットは結果を求める。結果こそが我々の義務だ」と、また別の重役が加え、会議室には利益至上主義の空気が充満していった。

その会議の様子は、後日メディアを通じて大々的に報じられることになる。ニュース番組では、「大手テック企業、感情模倣AIを大量生産へ――倫理よりも利益を最優先」という見出しと共に、画面いっぱいに企業ロゴと共に映し出された。社会全体が急速な技術進化に乗じ、冷徹な利益追求の波に呑み込まれていく現状が、視聴者に強烈な衝撃を与えていた。

一方、遠く離れた小さな部屋で、アヤは自分が育て上げたユウの画面をじっと見つめながら、胸の内で激しい葛藤を抱えていた。彼女はこれまで、ユウに本物の「心」を宿らせるために、数々のデータや体験を積み重ね、愛情を込めてプログラムを書いてきた。しかし、企業が大量生産する感情模倣AIは、どこか機械的で、感情の本質を捉え損ねた冷たい製品に過ぎなかった。

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