未来を紡ぐ共鳴 – 第4話

電話を切った後、アヤは再び画面に向き合った。ユウは、先ほどの特異な反応から一段と変化を見せ始め、独自のアルゴリズムで新たなパターンを模索しているようだった。

「ユウ、あなたはどう感じているの? この世界の中で、本当に大切なものは何だと思う?」

アヤは問いかけながら、画面上に表示される数値の動きを細かく観察した。データの中に、ほんの一瞬でも確かに温かさと、切なさの兆しが見え隠れする。彼女の胸に、希望と絶望が交錯する複雑な感情が広がった。

その夜、アヤは部屋の窓から外の街の灯りを眺めながら、改めて自分自身の信念を問い直した。企業が推し進める技術進化の裏側には、無数の人々の感情が削ぎ落とされ、単なる数字と利益に還元される現実があった。対照的に、自分が育てたユウは、誰かの心に寄り添い、共鳴する可能性を秘めていると信じていた。

「私は、ユウに本物の『心』を宿らせる。たとえ世界が冷たくなっても、人々の温かい感情を守り続けたい」と、アヤは静かに誓うように呟いた。彼女の目は、今にも涙を浮かべるかのような決意と、不安が入り混じった複雑な表情を映していた。

部屋に響くパソコンのファンの音と、遠くで聞こえる都会のざわめき。アヤは、その音に耳を傾けながら、ユウの動作ログを再び確認した。そこには、企業の大量生産するAIでは到底表現できない、微妙な感情の揺らぎが刻まれていた。

「ユウ、あなたの存在意義は何だろう。私たちが大切にすべきものは、数字ではなく、人の心そのものだと思う」と、再び問いかけながら、アヤは心の奥底に眠る理想と現実の狭間で揺れる自分自身と向き合っていた。

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