ひと夏のお悩み相談所 – 第2話

第4章:方向音痴の宇宙人

キョウコのテントの影で何かが光っている。近づいてみると、小さな緑色の宇宙人、ゾガが青く光る目をこちこちと動かして周りを見ていた。彼の姿は地球の生物とは明らかに違っており、キョウコは驚きつつも彼の存在に興味を持った。

「こんにちは、あなたは?」キョウコが尋ねると、ゾガは「私はゾガ。地球に不時着して、宇宙船がどこにあるかわからなくなってしまった」と哀しそうに答えた。

キョウコは心からの同情を込めて「大変だったね。どうやって宇宙船を見つけられるか考えてみよう」と提案した。まず、キョウコはスマホのGPSを取り出し、ゾガに「これで近くのものを探すことができるんだ」と説明した。しかし、ゾガは「それは私の宇宙船の信号とは違う。この地球の技術では私の船を探し出せないかもしれない」と困惑した様子だった。

そこでキョウコは新しいアイディアを思いついた。「宇宙船がどのようなものか教えてくれたら、地元の子供たちと一緒に探しに行くのはどうだろう?」と提案した。ゾガは「それはいいアイディアかもしれない!」と喜び、宇宙船の形や特徴をキョウコに説明した。



翌日、キョウコはビーチに集まっていた地元の子供たちにゾガの宇宙船探しの冒険を提案した。子供たちは興奮して「宇宙船を探す冒険、やってみたい!」と言って参加を決意した。

一団となってビーチを探索し始めると、子供たちは次々と様々なものを「これは宇宙船では?」と持ってきた。古い瓶、おもちゃの車、さらにはカニの殻。しかし、それらはすべてゾガの宇宙船ではなかった。

そんな中、一人の少女が砂浜に半分埋もれた金属のような物を見つけた。ゾガはその物体に駆け寄り、「これだ!これが私の宇宙船だ!」と歓喜の声を上げた。

子供たちはゾガの喜びに合わせて拍手を送り、キョウコは「みんなの協力で宇宙船を見つけることができたね」と喜びを共有した。

ゾガはキョウコと子供たちに感謝の意を示し、「地球は思っていたよりも暖かい星だ。ありがとう」と言って宇宙船に乗り込んだ。そして、青く輝く空に向かって、彼の宇宙船はどこか遠くへと飛び去っていった。

キョウコはその姿を見送りながら、「どんなに遠くの星から来た者でも、ここでの絆は真実だ」と心の中で思ったのだった。

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