ペットの天国 – 最終話

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第7章: ペットたちの天国への旅立ち

ペットショップ「ミユキの小さな天国」は、多くのペットの幽霊たちが訪れる聖地となっていた。ミユキの温かい手助けと、地域社会の協力により、一匹また一匹と、彼らの最後の未練が解消されていった。

その日も、ミユキは店の裏庭で小さなセレモニーを開いていた。一匹の老犬が、もう一度元気に走る姿を飼い主に見せたいと願っていた。彼の願いを叶えた後、老犬の幽霊は穏やかな笑顔を浮かべながら、光の中へと消えていった。

ミユキはその姿を見送りながら、切なさと喜びが入り混じった複雑な感情に包まれた。彼らが安らかに旅立てたことに心からの感謝を感じつつも、同時にペットたちとの別れの寂しさを噛みしめていた。

毎回のセレモニーの後、ミユキは店内にある小さな祭壇の前で手を合わせ、ペットたちの魂が天国へと旅立つことを祈った。祭壇には、彼らが生前好んでいたおもちゃや、写真、そして彼らが最後に楽しんだ思い出の品々が並んでいた。

彼女は、ペットたちがこの世を去る際に持っていた未練や悲しみが、今は解放され、彼らが本当に望む場所へと進んでいると信じていた。そして、そんな彼らの旅立ちを見守ることができる自分自身に感謝していた。

ミユキのペットショップでは、幽霊ペットたちの最後の願いを叶えることが、彼女自身と地域社会にとっても新たな使命となっていた。その行いは、ペットと人との深い絆を再確認し、死を乗り越えた愛の証として、多くの人々の心に刻まれていった。

そして、セレモニーを終えた夜、ミユキは店の前で星空を見上げ、今日旅立ったペットたちの魂がきっとどこかで輝いていることを想像した。彼らの生きた証と、彼女との出会いが、永遠に続く物語となることを信じていた。

ペットたちの天国への旅立ちは、悲しみと共に希望も運んできた。それは、愛するペットたちと再会する日まで、生きている私たちが抱き続けるべき温かな想いとなって、ミユキの心の中に永遠に残ったのだった。

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