ペットの天国 – 第1話

第2章: チーズ山の冒険

ミユキは、ハムちゃんの願いを叶えるために、小さなチーズを一つ一つ積み上げていった。店の一角が徐々にチーズの色に染まっていく。ミニチュアの山は、黄金色に輝き、ペットショップに新しい命を吹き込んだ。

その日、ミユキはいつも以上に入念にチーズを積み、山の形を整えた。普通のペットショップでは決して見られない、この奇妙で楽しい光景は、次第に人々の関心を引きつけた。子供たちは窓ガラスに鼻をくっつけ、大人たちは笑顔を浮かべながら指を指した。

「あそこ、何をやってるのかしら?」 「見て見て、チーズの山だよ!」

ミユキの店は、あっという間に地元の人々の間で話題となり、見物客で賑わうようになった。彼女はチーズ山の前で、ハムちゃんの幽霊が微笑む姿を想像しながら、訪れる人々に説明をした。

「あのね、これは小さなハムスターの大冒険のための山なの。彼の最後の願いを叶えるために作ったんだよ。」

話を聞いた人々は、驚きとともに、ミユキの温かい心に触れた。そして、その話は人から人へと広がり、やがては地元のニュースにも取り上げられることになった。

「ペットショップがペットの夢を叶えるためにチーズの山を作る」というタイトルで、多くの人々の心を動かした。カメラマンや記者が店にやって来て、ミユキとそのチーズの山の写真を撮り、多くの人々にその温かな話を伝えた。

この出来事は、ミユキにとっても、店にとっても、そして地域社会にとっても、予期せぬ喜びとなった。チーズ山は、亡くなったハムスターの願いを叶えるだけでなく、人々の心をひとつにする魔法のような存在となったのだ。

日が暮れて店の灯りが消える頃、ミユキは一人、チーズ山を見つめながら思った。この小さな冒険が、こんなにも多くの人に愛されるとは。彼女の中に新たな決意が芽生える。これからも、ペットたちの願いを叶えるために、何ができるかを考え続けようと。

そして、チーズ山の冒険は、ペットショップ「ミユキの小さな天国」の新たな伝説となった。ハムスターのハムちゃんは、その山を登り、皆の心に永遠の足跡を残したのだった。

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