猫の旅路 – 第1話

第1話 第2話 最終話

第1章: 変わり果てた日常

都心のアパートの一室、窓の外には星がきらきらと輝いていた。部屋の中では、30歳の大介が深い溜息をつきながら、ベランダに出て星空を眺めていた。

「彼女に振られてしまったなんて…」

彼の心は深い絶望に包まれていた。大介と彼女は3年間の長い間、一緒に過ごしてきた。しかし、彼女の突然の告白により、彼らの関係は終わってしまった。

「大介、もう私たちの関係は終わりだと思う。ごめんね。」

その言葉が、彼の心の中で響き渡っていた。

大介は、彼女との思い出の品々を部屋に散らばらせていた。一緒に行った旅行の写真、彼女が彼にプレゼントしてくれたネクタイ、二人で食事に行った時のレシート…。それらの品々は、彼にとっての宝物だった。

「どうして、こんなことに…」

涙が彼の頬を伝って落ちた。その時、部屋の隅で小さな声が聞こえた。



「にゃー」

ミミ、大介の愛猫だった。彼女は大介の足元に駆け寄り、彼の膝の上に飛び乗った。

「ミミ…」

大介はミミを優しく撫でると、彼女の柔らかな毛が心地よく感じた。

「君だけは、僕を裏切らないよね」

大介はミミに向かって、心の中の思いを話しかけた。ミミは彼の言葉を理解することができないかもしれないが、彼女の存在だけで、彼の心は少し温かくなった。

しばらくの間、二人はそのままの姿で過ごしていた。しかし、突然の出来事が彼らの前に訪れる。

「もし、猫になれたら…。どれほど楽しいだろう」

大介は、突然の思いつきで、そんなことをつぶやいた。彼はミミの自由な生活に憧れていた。人間としての彼の生活は、仕事や人間関係のストレスに悩まされていた。しかし、ミミの生活は、そんなことから解放されていた。

「ミミ、君はいいな」

大介はミミの頭を撫でながら、そうつぶやいた。その時、突然の光が部屋を照らした。

「何だ?」