第1章 第2章
王都ラゼルが空へと昇り、この世から消え去ったのは、まるで昔話から抜け出たような出来事であった。その日、エリオットは夕暮れまで畑を耕し、星が瞬く頃に疲れた身体を休めた。彼の眠りは深く、夢の中でさえも、王都の消失が心に重くのしかかっていた。
夢の中でエリオットは、一面に広がる青々とした草原に立っていた。そこは彼が幼い頃に遊んだ場所であり、心安らぐ思い出の地でもあった。突然、地鳴りのような轟音が彼の耳を打ち、草原の向こうから巨大な影が現れた。それは、伝説に語られる竜そのものであった。金色の鱗に覆われたその竜は、雲を割ってエリオットの前に降り立ち、深い知恵を秘めた眼差しで彼を見つめた。
「笛を探せ」という啓示は、言葉というよりも直感のように、エリオットの心に響いた。彼は、その声が竜のものであることを直感的に理解した。何百年もの歳月を生きる竜たちの知識と力が、その言葉には込められているように感じられた。
エリオットがその巨大な竜を見上げていると、竜は優雅に首を低くし、彼の目の前にある物を示した。それは、翼を広げた竜が彫られた小さな笛だった。笛は古びていながらも、光を放ち、幻想的な魅力を放っていた。竜は再び低くうなり、笛の真の力を解放する者が現れるべき時が来たことを告げた。