歌う井戸 – 第弐話

闇の誘い

陸と純は、新たなる井戸の謎に直面していた。消えてしまった光一の友人を救い出すため、そしてこの不穏な事態を解決するために、彼らは再び乙女の日記を手に取った。かつて乙女が井戸の深さを警戒した言葉や、恋人との関係、さらには井戸にまつわる伝説や魔物についての記述を発見する。

日記には、昔、櫻村には井戸の守り神とされる存在がいたと書かれていた。しかし、何者かによってその存在が封印され、その結果、井戸の深さには闇の力が宿ったと記述されていた。

純はその日記を読みながら考えた。「もし、乙女の魂が昇天したことで、闇の力が再び目覚めたのだとしたら…」

陸も納得する。「だとしたら、その闇の力に対抗する方法を見つけないと、村は危険だ。」

二人は村の長老に日記の内容を伝えると、長老は深く頷いた。「そうか、この井戸の真の力が目覚めたのだな。昔、私の先祖が語り継いできた伝説にも、井戸の守り神と闇の力についての話があった。」

長老の話によれば、昔々、この村を守るために神として崇められていたのは「水の精霊」であり、井戸はその精霊の住処であった。しかし、闇の力が村に侵入しようとすると、水の精霊はその力で闇を封印した。しかしその代償として、精霊自体も封印されてしまったという。

陸は考えた。「では、その封印を解く方法は?」

長老はしばらくの沈黙の後、言葉を続ける。「封印を解くには、純粋な心を持つ者が、水の精霊に祈りを捧げ、闇を封印する儀式を行わなければならない。」

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