歌う井戸 – 第弐話

光一たちは恐怖で足を止めてしまった。そして、その影は一人の友人の足を掴み、彼を引きずり込んでしまった。残りの若者たちは恐怖で逃げ出し、村へと駆け帰った。

翌朝、光一たちがその夜の出来事を村人たちに話すと、全村が大騒ぎとなった。長老のもとにも事の次第が伝えられ、彼は深い憂慮の表情を浮かべた。

「これは乙女の魂が昇天したことで、新たな何かが井戸に宿ったのかもしれない。」

光一と彼の友人たちは、井戸に近づいたことを後悔していた。しかし、それよりも消えてしまった友人のことが気にかかっていた。

村には怖れが広がり、外出を控える者が増えた。そして、夜になると、再びあの深い歌声が村中に響いていた。

陸と純もこの事態に危機感を覚えていた。二人は再び井戸の謎を解き明かすべく、手を取り合ってその真相を追う決意を固める。

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