歌う井戸 – 第伍話

その言葉に、陸と純は驚く。暗闇の乙女も、かつてはこの村に住む普通の乙女で、愛する者との絆を確かめるために、自らの歌声を捧げてきたのだった。

「しかし、私の愛は報われず、井戸の中で永遠に歌い続ける運命にされてしまった…」

暗闇の乙女の悲しい過去を知った陸と純は、彼女に同情する。そして、彼女の孤独を癒すため、二人は彼女とともに歌を歌い始める。

その歌声は、井戸の中に響き渡り、暗闇の乙女の心を温める。そして、彼女はついに、その孤独から解放される。

「ありがとう…」

涙を流しながら、暗闇の乙女は光の中へと消えていった。井戸の中からは、もう彼女の歌声は聞こえなくなった。

夜明け。陸と純は、井戸の前で手をつなぎ、静かに立ち去る。彼らは、この事件を通して、真の愛とは何か、そして人々を救うための力の大切さを知った。

そして、彼らは誓った。この村の伝説を、次の世代に伝え続けることを…。

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