最後のメッセージ – 第三幕: 真実の発見 前編

第10話: 儀式の夜

カズキとヨシオは旧病院の地下室で重苦しい空気の中、儀式の準備を整えていた。彼らは地面に古代から伝わるシンボルを丁寧に描き、それぞれの位置に必要なアイテムを配置していった。ヨシオは呪文の正確な発音を確認しながら、カズキは灯したろうそくを配列していく。

「これで全ての準備が整った。」カズキが深呼吸をして、ヨシオを見た。

「ああ、後は正確に儀式を実行するだけだ。覚悟はいいか?」ヨシオが問う。

「うん、何が起こるか分からないけど、アユミを見つけ出すためなら何でもする。」カズキの声には決意が込められていた。

儀式が始まると、まるで応答するかのように病院の地下室全体が変化し始めた。周囲の空気が一気に冷え込み、二人の息が白く霧化するのが見えた。突然、遠くの方から不気味な声が聞こえ、その声はだんだんと近づいてきた。壁の影からは、まるで生きているかのように動く暗闇が彼らを取り囲む。

「何だ、この声は…」カズキが呪文の唱えるペースを速める。

「気を散らすな、カズキ!呪文を間違えるな!」ヨシオが叫ぶ。

呪文を全て唱え終えると、彼らが描いたシンボルの中心から光が突如として爆発するように広がり、その場の空気が振動した。一瞬、すべてが静まり返り、次の瞬間、地下室の床が裂け、そこから眩い光が放たれる。それはまるで異界への門が開かれたかのようだった。

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