亡霊の街 – 第4話

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警察官の宮島が訪ねてきたのは、佐伯が大火災の資料を読み返していた真夜中近くのことだった。深夜にもかかわらずチャイムが鳴るので驚いて扉を開けると、宮島はひどくやつれた表情で立っていた。息を切らしながら部屋に上がり込むなり、宮島は声を絞り出すように言う。

「最近、封鎖区域の周辺でまた行方不明者が続出してるんだ。しかも、政府関係者まで含まれている。上からは“操作するな”という圧力がかかっていて、ろくに捜査が進められない。正直、俺の身にも危険が及ぶかもしれないが……お前に伝えといたほうがいいと思ってな」

佐伯は紙コップに水を注ぎ、宮島に手渡した。明らかに憔悴している様子で、水を受け取る彼の手は小刻みに震えている。近頃は“亡霊の街”に興味を持った人間が、不可解な形で姿を消すという話を方々で耳にしていた。だが、まさか政府関係者までもが行方不明になるとは予想外だった。

「一体、どうして当局はそんなに動きを見せないんだ?」

「さあな。もしかしたら、何か都合の悪い真実が隠れているんだろう。公式発表も歯切れが悪くて、誰一人はっきりした回答をしない。内部で何か大きな力が動いているようにしか思えないんだ。こんなこと、警察官である俺が言うのもおかしいが……やっぱり普通じゃない」

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