亡霊の街 – 第4話

宮島の言葉に、佐伯は胸の奥にうずくような違和感を覚える。封鎖区域で見た光景や、老人から聞いた大火災にまつわる話。それらがぼんやりした繋がりを持ち始めている気がするのだ。行方不明者たちにはある共通点があると、宮島はさらに付け加えた。

「消えた人間のほとんどが“亡霊の街”について調べていた。ニュースソースや噂話、当時の資料などを掘り下げようとしていたらしい。まるで、その秘密に近づこうとする者を排除するかのように、次々と姿を消しているんだ。組織的な犯行か、あるいは……何か、もっと得体の知れない力の仕業かもしれない」

その言葉を聞くと、佐伯の背中を冷たいものが走った。自分も同じように亡霊の街を追っている。その呪いとも思える不穏な力が、すでに自分に牙を向き始めているのではないかと感じる瞬間が最近増えてきていたからだ。宮島は思いつめた表情のまま低く言う。

「佐伯、お前も危ない。これ以上深入りすると、消されるぞ」

「それでも、俺は真相を知りたい。大火災で亡くなったはずの人々が行方不明として扱われたままになっているのは、おかしいだろ? 何か重大な事実が隠されている。亡霊が実在するかどうかはともかく、街そのものが呪われているような異様さを感じるんだよ」

佐伯の言葉に、宮島は小さく息を吐いた。警官としては、これ以上深入りしてほしくないのだろう。しかし同時に、真相に一番迫っているのは佐伯だと察してもいるようだった。

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