深海の叫び – 第5章:真実への海底降下 後編

斎藤は、隊員たちに向け再び声を上げた。「この扉を前に、我々は今、究極の探査ミッションの最終段階に突入する。ここを開けることで、我々は古代文明の真実に直接触れることになる。ただし、我々は科学者であると同時に、命を背負う戦士だ。全員、慎重かつ迅速に行動すること。中村、扉周辺のセンサーは常に監視し、異常値があれば即報告するように」

中村は、計器の数値を一瞥しながら冷静に「了解、全隊員。皆、深呼吸して、互いに支え合いながら進むように。私たちの使命は、ただこの遺跡の核心を探るだけではなく、古代からの封印が現代に持ち込む影響をも克服することだ」と、隊員たちに力強く呼びかけた。その声には、これまでのあらゆる試練を乗り越えてきたリーダーとしての重みが感じられた。

艦載ドローンが扉に近づくと、壁面に施された象形文字や、精巧な模様が一層鮮明に映し出され、隊員たちは無言でその光景に見入った。ローレンスは、映像に対し歓喜とともに、「これが、古代の儀式で実際に使用された象形文字の一部です。紋章の配列や、微妙なデザインの違いが、儀式のプロセスを示唆している可能性があります。これを解読できれば、人類史に新たな一章を刻むことになるでしょう」と、情熱的に語り、全員の期待と同時に、深い狂気の予感を煽った。

斎藤は、慎重かつ冷静な態度を崩さず、「ローレンス、君の言うことも一理ある。しかし、今はまず、我々が実際に扉を開けて中の状態を確認することが急務だ。すべてのデータを記録し、次なるステップに役立てるため、細心の注意を払うこと」と、厳格な指示を出しながら、手元のキーボードに向かってデータの入力と解析を続けた。

隊員たちは、準備が整うと、順番に深海服と通信機器を装着し、慎重に扉へと近づいていった。中村は、隊員たちに「一列に整列し、互いの無線を絶やさず、扉の向こう側で何が起こるかを常に監視しよう。何か異常があれば、すぐに戻るように」と、改めて注意を促し、隊員たちはその指示に従って、一定のリズムで扉に向けて進んでいった。

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