深海の叫び – 第5章:真実への海底降下 後編

その瞬間、艦載ドローンが記録していた映像と、全てのセンサーが送信する数値が、一斉に変化し始めた。深海の圧力に押しつぶされるような暗闇と共に、扉がゆっくりと軋みながら開かれる光景が、ブリッジの大画面に映し出された。画面には、激しい振動とともに、長い年月を経た石の表面から、内側へと広がる不規則な模様が現れ、まるで封印された禁断の力が解放されようとしているかのような映像が再生された。

「皆、これを見ろ」と斎藤は、強い口調で全員に報告した。「古代の封印が、今、解かれようとしています。この遺跡は、単なる過去の遺物ではなく、現代においても強大な影響を与え続ける力を秘めている。私たちがここで得る証拠は、世界の歴史を根底から覆す可能性があります」

ローレンスは、その映像に見入った後、「この象形文字や模様は、我々が知っているどの文明のものとも異なります。ここには、失われた古代の儀式や神々への祈りの記録が刻まれている。もしそれが真実なら、私たちは、封印された力と、その解放による恐ろしい狂気を目の当たりにすることになるでしょう」と、情熱を燃やして語った。

中村は、内心の不安を隠しながらも、隊員たちに向けて冷静な指示を続けた。「この部屋に入る際は、全員が自らの体調と精神状態に最新の注意を払い、異常があれば即時に戻るように。そして、内部の状況を細かく記録してください。我々は、ここで何が起こっているのかを解明しなければならない」と、断固たる態度で述べた。

扉の向こう側に広がる内部空間は、薄暗い光に照らされ、無数の石柱や祭壇が並ぶ、まるで神殿のような空間であった。遠くの壁には、かすかな光とともに、古代のシンボルが浮かび上がり、深海の圧力と相まって、畏怖の念を一層強める光景が広がっていた。

タイトルとURLをコピーしました