嘘つきな家族 – 第2話

第1話 第2話

ある日、美沙は街で自分に似た女性・麻里を見かけた。麻里は美沙に声をかけてきた。

「美沙、元気だった?」

「あなたは…」

美沙は麻里の顔を見ても何も感じなかった。麻里は誰だろう?

「私は麻里だよ。あなたの双子の姉だよ。」

麻里と名乗った女性は美沙に抱きついた。美沙はその抱擁にも何も感じなかった。彼女は本当に姉なのだろうか?

「美沙、どうして連絡してくれなかったの?私はずっと心配してたんだよ。」

麻里は涙ぐみながら話した。美沙は姉と言われても何も感じなかった。自分に姉がいることを思い出せなかった。

「でも大丈夫だよ。あなたは生きてるんだから。私がずっとそばにいるから。」

麻里はそう言って、写真を見せてきた。写真には麻里と美沙ともう一人の男性が笑っていた。

「これは健一だよ。あなたの夫だよ。」

麻里は夫と言ったが、美沙はその男性を見ても何も感じなかった。彼は本当に夫なのだろうか?

「美沙、信じてくれ。私らは家族なんだよ。あなたを愛してるんだよ。」

麻里はそう言って、美沙にキスをした。美沙はそのキスにも何も感じなかった。彼女は本当に愛してるのだろうか?

美沙は自分の心に亀裂を感じた。自分が本当に自分であることを疑い始めた。