雪の旋律に響く心 – 第4章

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第7話: 「ライブ前夜」

静かな夜、カイトは自宅の一角にあるスタジオで一人ギターを手にしていた。明日に迫ったライブを前に、彼は無意識に弦を弾き始めた。その音色は、これまでの迷いや葛藤を乗り越えたかのように、どこか澄んでいた。カイトは目を閉じ、指先から生まれるメロディに耳を澄ませた。「俺が音楽をやる理由って、何だったんだろうな…」そう自問する中で、彼はかつて感じた純粋な喜びを思い出していた。

音楽が自分を自由にしてくれる。その感覚が、再び彼の胸に蘇ってきた。「そうだ…俺はこれが好きなんだ」と、カイトは小さく呟き、ギターを握る手に力を込めた。音楽への情熱が再び彼の中で燃え上がり、明日のライブに向けて気持ちを固めることができた。

一方、洋平は自宅のソファに座り、カイトとの長い付き合いを思い返していた。彼が初めてカイトの音楽に触れたときの衝撃、そしてその後のすべての出来事が脳裏をよぎる。カイトの才能を信じ、支え続けてきたが、その裏で自分が抱えてきた感情にも向き合わざるを得なかった。「俺は…お前をどう思ってるんだろうな」と、洋平は自分に問いかける。

彼の中には、カイトに対するプロフェッショナルな尊敬だけでなく、もっと個人的な感情があることを自覚していた。しかし、その気持ちをどう整理すればいいのか、洋平自身にも答えが出せずにいた。「お前が成功することが、俺にとって一番の喜びだ…」そう呟きながら、洋平はカイトが輝く瞬間を信じて、明日に向けて自分の役割を果たそうと決意した。

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