雪の旋律に響く心 – 第4章

音楽が流れ出すと、カイトの声が静かに、しかし力強く響き渡った。彼の歌詞には、これまでのすべての感情が込められていた。悲しみも喜びも、迷いも決意も。その全てが音となり、言葉となって観客の心に届いていくのが感じられた。

洋平はそのパフォーマンスを見守りながら、カイトが本当に自分の力で輝いていることを誇りに思った。しかし同時に、その姿を見つめる自分の心が、ただのマネージャーとしての感情ではないことを改めて感じ、胸が苦しくなるのを抑えられなかった。

ステージが終わりに近づく頃、秀次はついに決断した。カイトに自分の気持ちを伝える時が来たのだ。彼はステージ袖でカイトを待ち、心の中で自分を奮い立たせていた。「カイトさん、今こそ俺の気持ちを…」秀次はそう思いながら、カイトが最後の曲を歌い終える瞬間を見届けた。

曲が終わり、会場全体に拍手と歓声が巻き起こる中、カイトは深々とお辞儀をした。彼の顔には達成感が溢れていたが、その裏に隠された迷いも消えてはいなかった。洋平と秀次、二人の大切な存在に支えられながらも、カイトは今後の道を自分で決める時が来ていることを強く感じていた。

カイトがステージを後にした瞬間、秀次は決意を固め、カイトに向かって歩み寄った。洋平もまた、その様子を見つめながら、自分の思いと向き合う時間が訪れていた。

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