雪の旋律に響く心 – 第4章

第8話: 「冬のライブ」

ライブの日がついに訪れた。外は冬の寒さが一段と厳しく、街中には白い息を吐きながら歩く人々の姿があった。そんな中、ライブ会場の楽屋では、カイトがギターを手に静かにチューニングを行っていた。彼の表情は真剣で、これまでの迷いや不安が消え去ったかのように見えた。

「今日が全てをぶつける時だ…」カイトは心の中でそう決意し、ギターの音色に全神経を集中させた。ここに至るまでの道のりが脳裏をよぎり、すべてを歌に込めようと強く思った。

一方、洋平はカイトの準備を見守りながら、自分の胸に押し寄せる感情に向き合っていた。彼がカイトと出会った頃、まだ無名だったカイトの才能を信じ、支え続けてきた。そして今、カイトは自分の力でステージに立とうとしている。「お前は本当に強くなったな…」と、洋平は心の中で感慨深く呟いた。彼にとって、カイトの成功は何よりも喜ばしいことだったが、同時に彼に対する愛情がますます深くなっていることを再認識していた。

「俺はカイトをどう思っているんだ…」洋平はその答えをまだ出せずにいたが、それでもカイトのためにできることを全力でやり遂げる覚悟を固めた。

その頃、秀次もまた、自分の中で揺れ動く感情に決着をつけようとしていた。カイトとのレコーディングや準備期間を通して、彼の心の中に芽生えた感情は確かなものだった。「カイトさん、今日こそあなたに気持ちを伝えるんだ…」秀次はその決意を胸に、ステージ袖からカイトを見つめた。

会場が満員の観客で埋め尽くされる中、カイトがステージに登場すると、大きな歓声が沸き起こった。スポットライトに照らされたカイトは、まるで冬の夜空に輝く星のようだった。彼は深呼吸をし、マイクを握りしめると、最初のコードをかき鳴らした。

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