みかんのきのひみつ

ある小さな村に、のんびり屋の女の子、あかりが住んでいました。あかりはとても明るくて、村のどこでも笑顔を振りまく子です。彼女は毎日、村の外れにある古いみかんの木の下で遊ぶのが大好きでした。このみかんの木は、村一番の名木で、冬には甘いみかんを実らせていました。

あかりはいつもこの木の下で、友だちと遊んだり、本を読んだりして過ごしました。そのみかんの木は広い枝を持ち、青々とした葉が日差しを優しく遮ってくれました。木の下には、小さな花々や草が咲き乱れていて、まるで小さな世界のようでした。

ある日、あかりがいつものようにみかんの木の下で遊んでいると、突然、キラキラとした光が現れました。驚いたあかりが目をこすりながら見ていると、見たことのない小さな妖精が浮かんでいました。その妖精の名前は「フルル」。彼女は小さくて、羽根はまるで薄い花びらのように繊細でした。

「こんにちは、あかり。私はみかんの木の守り神、フルルです。」

フルルの声は、優しく澄んだものでした。

「あ、こんにちは!」あかりは目を輝かせました。「どうしてここにいるの?」

フルルは少し悲しそうな顔をしました。

「最近、村の人たちは忙しくなって、みかんの木を大切にしなくなってしまったの。この木が元気がなくなると、私も力を失ってしまうの。」

あかりはその言葉を聞いて、心が痛みました。「大切なものを忘れてしまったら、どうなるの?」

フルルは悲しそうに答えました。「みかんの木が枯れてしまう。その時、みんなの幸せも減ってしまうの。」

あかりは急に大きな決心が浮かびました。「じゃあ、私が村の人たちにみかんの木の大切さを伝える!みんなでお世話をしよう!」

フルルもその提案に目を輝かせました。「それができたら、きっとみかんの木は元気を取り戻せるわ!」

こうして、あかりとフルルは村人たちを集めることにしました。まずは、村の広場に集まってもらい、楽しいイベントを開くことにしました。

あかりは友だちと一緒に、色とりどりのポスターを作りました。「みんなでみかんの木を守ろう!」というメッセージは、みんなの心に響くものでした。ポスターには、みかんを収穫する楽しさや、お世話をすることの喜びが描かれていました。

イベントの日、村の人たちは晩御飯後に広場に集まりました。あかりは不安と期待でドキドキしながら、みんなの前に立ちました。

「皆さん、今日はみんなでみかんの木を大切にするためのイベントをします!この木が私たちの幸せを運んでくれる大切な存在なんです。」

村の人たちは耳を傾けてくれています。あかりは続けました。「一緒に木をお世話しましょう。水をあげたり、みかんを収穫したりして、楽しい思い出を作りませんか?」

最初は恥ずかしがっていた大人たちも、子どもたちの楽しそうな姿を見ているうちに、笑顔になってきました。「そうだね!みかんの木が私たちに与えてくれる幸せは計り知れない!」

こうして、みんなでみかんの木を取り囲み、楽しい作業が始まりました。大きなバケツを使って水を運び、あかりを先頭にして、声を揃えて笑いながら水やりをしました。木の周りにはたくさんの笑い声と歓声が響き渡り、まるでお祭りのようでした。

その後、村人たちはみかんを収穫し始めました。色とりどりの甘いみかんが木からポトリポトリと落ちてくるのが見える度に、歓声が上がりました。子どもたちは誇らしげに、みかんを抱えて走り回り、大人たちも笑顔でその様子を見守っていました。

時間が経つにつれて、みかんの木はみるみるうちに元気を取り戻していきました。

「あかり、みかんの木が元気になりそう!私たちが頑張ったからね!」

フルルが嬉しそうに言いました。

「そうだね!みんなのおかげだよ。これからも、みかんの木を大切にしていこう!」あかりも笑顔で答えました。

その後、みかんの木は毎年たくさんのみかんを実らせるようになり、村人たちはその甘い果実を楽しみに待つようになりました。忘れかけていたみかんの木の大切さを思い出した村の人々は、自然や時間の流れを大事にし、幸せな日々を送るようになりました。

あかりは、フルルと一緒にたくさんの素敵な思い出を作り、何よりも大切なことを学びました。みかんの木が彼女の心の中にずっと残る特別な存在となり、彼女自身も成長していくのでした。

タイトルとURLをコピーしました