にじいろのうさぎと魔法の森 – 後編

前編

 また別の日には、迷子になった小さな子鹿を見つけました。親鹿とはぐれてしまい、震えながら心細そうに泣いています。モモは子鹿の鼻先にちょんと触れ、「あんしんして。ぼくがママのところへ連れていってあげるよ」と声をかけました。そして足もとに光の道しるべを作りだし、子鹿を優しく先導しました。少し経つと、森の外れで心配そうに探している親鹿の姿が見えます。再会した親鹿と子鹿は、涙ながらにモモにお礼を言いました。

「ほんとうにありがとう、にじいろのうさぎさん。あなたのおかげで親子そろって安心できました」

 こうしてモモは、森の動物たちからとっても頼りにされる存在になっていきました。「あれ、困ってるの? よし、ぼくが魔法で手伝うよ!」と自分から声をかけ、大活躍する日々。みんなも「にじいろのうさぎ、にじいろのうさぎ」と呼んではモモを慕います。

 ところがある日のこと。朝から空が急にくらくなり、黒い雲がごうごうと風に流されてきました。パラパラと最初は弱い雨だったのに、あっという間に大粒の雨が森に降りそそぎます。風もびゅうびゅうと強くなり、枝や葉っぱが激しく揺れはじめました。やがて雷がごろごろと鳴り響き、森の動物たちはあわてて隠れ場所を探しはじめます。

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