聖夜に注ぐレクイエム – 12月16日

悠人の中で次第にピースが繋がり始める。怜子があの事故について何か知っているとしたら、それが彼女を危険にさらしているのではないかという考えが浮かんだ。

陸はホールを後にしながら、真知子の言葉を反芻していた。怜子が何かに怯えていたことは確かだ。しかし、その何かが何なのか、まだ手がかりが足りない。車に乗り込むと、彼は再び楽譜を取り出し、じっくりと目を通した。

「何かが隠されているのか……。」

その時、陸の携帯が鳴った。電話の相手は鑑識課の同僚だった。

「大沢さん、控室から新たな証拠が出たよ。怜子さんのスマホケースだけが発見された。中身は空だったけど、ケースには何か細工がされているみたいだ。」

陸の胸に緊張感が走る。小さな証拠が、徐々に真実への糸口を引き寄せているように感じられた。事件の全貌が見えるにはまだ遠い。しかし、怜子が残した断片が新たな謎を呼び起こしていた。

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