聖夜に注ぐレクイエム – 12月16日

「これは……ただの楽譜じゃない。」

悠人は自らの勘を信じて楽譜を読み進めた。音符の並び、記号の配置、そしてページごとの細かなメモ――そこには不自然なパターンがあった。特定の音符が異様に強調されている部分があり、それを繋ぎ合わせるとアルファベットの文字列が浮かび上がる。

「暗号……? 怜子さん、何を隠そうとしていたんだ?」

悠人は考え込んだ。怜子が残した「レクイエム」は単なる音楽ではなく、何か重大な秘密を伝えるためのメッセージだったのではないか。その秘密が彼女の失踪に繋がっているのだとしたら、急いで行動を起こす必要がある。

悠人はスマートフォンを手に取り、怜子の過去についてさらに調べ始めた。彼女が通っていた音楽学校、過去に受けたコンクール、そして家族構成。すると、ある出来事が目に留まった。それは10年前に起きた「音楽学校の火災事故」だった。その事故で、怜子が深く関わっていた生徒たちが亡くなっていたという。

「火災事故……。これが関係しているのか?」

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