陽一は、日の光が柔らかく差し込む小さな部屋に目を覚ました。彼が住んでいるのは、外界から隔絶された孤独な生活だった。両親は早くに他界し、その後は叔父に育てられたが、彼には愛情を感じることはほとんどなかった。友達もいなく、いつも一人で遊んでいたため、陽一はいつも夢の中で冒険をすることを想い描いていた。
そんなある日、彼の目の前に光の扉が現れた。それは異世界「エルフェリス」への道だった。戸惑いながらも、好奇心が勝り、陽一はその扉をくぐった。
異世界に降り立った陽一は、自身が異なる存在になっていることに気がついた。周囲の景色は美しく、空には色とりどりの鳥が舞い、草花は彼を出迎えるかのように輝いていた。
そして、彼の無邪気な性格は、この世界では大きな武器となった。初めて出会った友達たちは、陽一の率直な笑顔に魅了され、彼に親しみを持った。エルフェリスでは数々の出会いと友達ができ、心温まる冒険が始まった。
異世界での陽一は、自分の中に秘められた魔法や剣術の才能を見つけ出す。特に自然に恵まれた「導きの森」での冒険で、彼は魔物と戦い、仲間たちとの絆を深めていく。そんな中、心優しい少女・リリと出会う。
リリは自然を愛し、魔法の力を使って生きる妖精のような存在だった。陽一は彼女に一目惚れし、共に様々な冒険を楽しむ中で、二人は自然と絆を深めていく。
陽一の無邪気さと明るさは、彼にとっての魔法だった。しかし、彼がいるエルフェリスの裏側には、魔物の脅威や権力争いが渦巻いていた。陽一は無邪気に仲間たちと楽しむ中で、その現実とは知り合いませんでした。
次第に仲間たちの中で、陽一の純粋な愛情は時に滑稽に映り、また時には危険を招くこともあった。仲間たちも彼の守りたいという思いが強くなるほど、彼自身が抱える現実とのギャップに苦しむようになった。
ある日、彼らは強力な魔物と戦うことになった。陽一は仲間たちを守るため、必死に戦った。彼が魔物に向かって突き進むと、仲間たちの悲鳴が耳に響いた。
無邪気な愛を持った少年陽一は、仲間たちを守るために自らの命を犠牲にする選択を迫られていた。彼はその瞬間、リリの笑顔を思い出した。優しい声が今でも耳に残る。
「陽一ならできるよ、きっと大丈夫！」
だが、彼のその無知な思いは、結果として彼をただ孤独な現実へと導くことになった。陽一は全てを賭けて仲間たちを救ったが、代償として自分自身がエルフェリスを去ることに。
最後の瞬間、陽一はリリの存在を求めた。彼の無垢な愛は、魔物に勝利をもたらし、仲間たちの命を救ったが、同時に彼自らの命を縮めてしまった。彼は一人きりで、再び孤独の現実に引き戻されていく。
彼が心の中で抱いていた「温もり」だけが記憶の片隅に残り、終焉を迎えた。これまでの冒険の中で得た多くの友達の中には、彼が忘れてしまった誰かの温もりがあった。しかし、その温もりは彼を守ることはできなかった。
陽一は言葉を失い、ただ一人で大きな闇に飲み込まれていった。
彼の愛情が全てを救うと思い込んでいたが、その結果、孤独な現実へと戻ることになり、彼は一人きりで希望の光を失う。
これは、彼が感じた温もりがもたらした悲しい結末だった。彼の心にだけ、リリとの思い出が残り、永遠に繰り返されることはなかった。最後に陽一は、心の隅でリリを愛し続けるだろうが、それはもはや彼を救う存在ではなかった。
彼はたった一人で、暗闇の中へと消えていくのだった。
