魔術師集団との小競り合いは、陽斗の領域能力の発動により、あっという間に収束した。敵は敗走し、闇の中へと消え去っていった。ミカエルは、遺跡の中に漂う異様な雰囲気に目を細め、呟いた。「この遺跡には、まだ解明されるべき謎が数多く隠されている。虚無の王の伝説も、我々が知るべき大いなる真実の一片に過ぎないだろう。」
陽斗は、胸の内に新たな決意を固めながら、仲間たちに向かって力強く語りかけた。「この遺跡が示す道が、僕たちの進むべき未来へと続いている。共に歩み、古代の謎を解き明かそう。選ばれし者の足跡をたどり、虚無の王の封印の真相を暴くのだ！」
一行は、再び歩みを進めるために、慎重に次の通路へと足を踏み入れた。石の壁に刻まれた文字と、かすかな光を頼りに、彼らは遺跡の最奥部を目指す。道中、エリナは壁画の意味を解読しながら、仲間たちに語りかけた。「この物語は、ただの過去の記録ではなく、私たちが直面する未来の戦いへの準備でもあります。古代の英雄たちは、私たちに何を伝えようとしているのか……」
ミカエルは、古文書の断片を手に取りながら答えた。「伝承によれば、虚無の王はかつてこの地で封じ込められた。しかし、その封印は永遠ではなく、再び目覚める日が来るとされる。もしその日が訪れたなら、我々は必ずこの遺跡でその手がかりを掴む必要がある。」
ロレンスは、鋭い眼差しで周囲を見回しながら、「警戒を怠るな。敵は今後も、必ずこの秘密を狙ってくるだろう。我々の結束が、未来を切り開く唯一の手段だ」と仲間たちに忠告した。
遺跡内の探索は、これまでの戦いで得た経験と、新たに芽生えた信頼を糧に、仲間たちの結束をさらに強固なものとしていった。陽斗は、自身の領域能力が、ただの偶然の力ではなく、過去の選ばれし者たちの意志を受け継ぐものだと確信し、次なる謎解きへの決意を固めた。
彼らは、古代遺跡の奥深くで、次第に明かされる伝説と共に歩み続ける。壁画に描かれた英雄の姿、刻まれた碑文に浮かび上がる運命の言葉――全てが、これから待ち受けるさらなる試練と、世界の秘密への扉を示していた。
