古びた手紙の秘密 – 最終話

アカリは素直に胸の内を話し始める。どれほど戸惑っているか、年齢差や世間の視線を意識してしまう自分がいること、しかしそれ以上に、カズマの存在が心から離れないこと。母はアカリの言葉に耳を傾けながら、静かに麦茶をすすった。

「私は祖母と同じように、社会や周囲の目を気にして本当の想いを閉ざしてしまうのが怖い。ばあちゃんは、いろんな事情があったから仕方なかったかもしれない。でも、今の私は、戦後の混乱とか家業を守るとか、そういう切羽詰まった理由があるわけじゃないし……。」アカリが唇をかみしめながらそう言うと、母はコップをテーブルに置いて彼女の肩に手を乗せた。

「確かに、ばあちゃんの時代とは違うわね。昔は時代のせいにして諦めざるを得ない恋もあった。でも、今はあなた自身が選べる時代だと思うの。あなたの人生だから、後悔しないように思うままに生きてごらん。」母の言葉には、祖母に対する思いやりと、娘であるアカリへの愛情が詰まっているように感じられた。アカリはその手のぬくもりを感じながら、「ありがとう。私……自分の気持ちに正直に生きてみたい」と心を決めた。

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