古びた手紙の秘密 – 最終話

翌日、アカリは早速電車に乗り込んだ。目的地はもちろん港町。駅に着くと、あの懐かしい潮の香りが柔らかく包み込む。前に来たときと同じく、商店街を抜けて「サクラ」の扉を開くと、今日もカウンターの席にはカズマがいた。彼はアカリに気づくと、少し表情をこわばらせて姿勢を正す。アカリの胸は高鳴っていたが、それを悟られないようにゆっくりと隣の席に腰を下ろした。

「また来てくれたんだな。」カズマの低い声が耳に心地よく響く。アカリは意を決して口を開く。「どうしても、今日は伝えたいことがあって……私、カズマさんともっと一緒にいたいんです。祖母のことを知りたいっていう気持ちだけじゃなく、私自身がカズマさんに惹かれているって、はっきり言わないといけないと思って。」

カズマは一瞬息を飲んだようだった。その瞳に戸惑いと驚きが同時に浮かんでいる。周囲の客はカウンターにおらず、店主も奥で黙ってカップを磨いているだけで、この場の会話を邪魔しようとはしていない。「私なんかじゃ、あなたの未来を縛ってしまうだけなんじゃないか。それを考えると、つい躊躇してしまうんだ。祖母さんのこともあるし、私自身がもう若くないし……。」

穏やかながらも、カズマの声には自責がにじむ。アカリは「そんなことない」と首を横に振る。「誰かを好きになるのに、年なんて関係ないと思うんです。祖母が叶えられなかった想いを、今の私たちが引き継ぐとか、そういうのじゃなくて……カズマさんと私が、これから先を共に歩めるかどうか、それだけが大事なんじゃないかって。」自分でも少し強引かもしれないと思いつつも、本心を伝えずにはいられない。

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