古びた手紙の秘密 – 最終話

遠い昔、一つの恋は時代の波に呑まれて終わってしまった。しかし、その切ない思いは時を経てアカリとカズマを結び合わせた。この町の風景や祖母の思い出が、静かに見守る中で、二人は差し伸べあった手を離さずにいる。海からの風がそよぎ、花束のリボンがはためき、夏の空が一段と高く感じられた。

アカリはそっとカズマの方を見上げる。祖母を愛した深い瞳が、今は自分を映していると感じられる瞬間、胸の奥に強い安心感が広がる。彼の人生と自分の人生は決して同じ年数ではないけれど、これから始まる時間は二人にとってかけがえのない未来へと続いていくのだろう。年齢や環境の違いを乗り越え、互いを想い合う気持ちを信じて歩み出すこと、それがアカリたちにとっての答えだ。

祖母が大切に守り抜いた手紙が、今この瞬間を呼び寄せたのかもしれない――そう思えば、不思議とあの古びた封筒が愛おしく感じられた。それは一度失われたと思われた恋が、時を超えて実を結んだ証となり、ふたりの希望に満ちた明日を照らしている。アカリはカズマと見つめ合い、小さく笑みを交わすと、祖母の墓前にもう一度深く頭を下げた。彼女たちの願いは、静かに、しかし確かに叶えられたのだ。

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