前編 後編
エリアス博士の宇宙への旅立ちは全世界の注目を集め、カイルはその全過程を見守り続けた。巨大な宇宙船が地球を離れ、博士の精神がデータとして船に載せられ、宇宙空間へと送り出される様子は、人類が新たな未来へと踏み出す象徴的な瞬間だった。
しかし、カイルにとっては、それだけが物語ではなかった。博士の肉体が眠りにつき、彼の精神がデータとして残される瞬間を見守りながら、彼は改めて人間の存在とは何か、そして何が人間を特別な存在にするのかという問いを自問自答した。カイルは自身の感情と思考を深く掘り下げ、読者に向けてその深淵を伝えようと試みた。
一方、アストラル・シード計画は新たな問題に直面した。宇宙船が地球を離れて数日後、博士からの通信が突然途絶えたのだ。これは予定外の事態であり、科学者たちは混乱し、一部の人々からは計画の中止を求める声が高まった。
カイルはこの混乱の中、自身の役割を見失うことなく、真実を追求し続けた。彼はエリアス博士が最後に残したメッセージを何度も何度も読み返し、彼の言葉の中に隠された意味を探し求めた。そして、その言葉を通して博士が伝えようとした意識の自由とは何か、人間とは何かというメッセージを理解しようとした。
同時に、カイルは自身の感情と向き合うことを避けられなくなった。彼はエリアス博士が直面した孤独と恐怖、そして未知への興奮を自分自身の中で体験することで、彼の言葉に深い理解を見いだそうと試みた。彼は博士の経験を自身の言葉で表現し、読者に伝えることを誓った。
そして、彼は突然の悲報を受け取った。エリアス博士の肉体が永眠したのだ。科学者たちは博士の精神がどこかに存在していると信じていたが、その確証はなかった。アストラル・シード計画は大きな危機を迎え、人類の未来は再び不確定なものとなった。
